世羅高校が2015年12月20日の全国高校駅伝でアベック優勝しました。
おめでとう!
〔男子〕
「大会新記録を出そう」-。それが男子を制した世羅の合言葉だった。大会記録を上回るペースで、6区の植村からたすきを受けたアンカーの新迫主将は「競技場に戻ってから力を振り絞った」。従来の記録を14秒上回る大会新をマークし、歓喜のゴールに飛び込んだ。
岩本監督は「新しい学年になってからの半年間はチームがうまく回らなかった」と振り返る。最大の要因は新迫主将の心にあった。「主将になって初めて、高校駅伝で連覇を狙うチームの重圧を実感した」と話す。春先から調子が上がらず、夏の高校総体の5000メートルも途中棄権。「陸上をやめたい」と考えた時期もあった。
「主将の重圧をどう取り除いてあげるか。視線を変えるために、連覇ではなく、記録を狙うことになった」と指揮官。作戦通り、2区の井上で先頭に立つと、3区のケニア人留学生、カマイシが2位との差を1分に広げ、この時点で連覇はほぼ確実。左腕に「気楽」という文字を書いてレースに臨んだ主将も、後続を気にせずに自身の走りに集中できた。
記録を意識することで個々の走力も上がり、指揮官は「机上の計算ではもう少しタイムが出るかなと思った」と笑顔で話す。歴代最多の9回目の優勝を華々しく飾り、新迫も「歴史に名前を刻めた」と誇らしげにVサインを作った。(丸山和郎)




〔女子〕
4区の浅田からアンカーの向井にたすきが渡ったとき、女子の世羅はトップの西脇工から35秒差の4位。レース前「30秒差なら逆転できる」と話していた岩本監督は「ぎりぎりで(逆転は)厳しいかと思った」という。
しかし、7月の世界ユース選手権(コロンビア)3000メートルで5位に入賞した2年生は「けっこう差があったけど、気持ちで負けないように走った」。持ち前のスピードを存分に発揮。残り1・3キロで先頭に追いつくと、そのまま抜き去り、区間賞の快走で初優勝のゴールに飛び込んだ。



今大会で連覇を果たした男子への「ジェラシー」が勝利の原動力となった。地元での壮行会で、男子には「優勝目指して頑張れ」と声がかかるのに、女子へは「出場おめでとう」と脇役の扱い。向井は「男子だけではないところを見せられた」と胸を張った。
ただ、前回10位からの躍進には男子の協力もあった。合同での合宿では男子と集団走を行い、スピードを磨いた。1区区間賞でチームに勢いをつけた主将の小吉川(こよしがわ)は「女子だけでは限界がある。男子との練習はありがたかった」と話した。
ミーティングを重ね、9月にチームの目標を「入賞」から「優勝」に変更し、部員の意識が高まったことも勝因のひとつ。「来年から、女子も優勝候補といわれたらうれしい」と小吉川。輝かしい世羅の駅伝史に、女子が栄光の第一歩を刻んだ。(鮫島敬三)

〔男女〕

